• ウブドにある「タナ・ガジャ」も個性的なホテルです。Tanah Gajahのオーナー「Hendra Hadiprana」はインドネシアで有数のインテリア造形家であり且つ建築家で、元々は自分と家族のための静養先として創ったものです。カマンダルーはバリの伝統的な村落を模して造った民族風の落ち着いたホテルですが、こちらは近代を巧みに取り入れた都会的なお洒落なホテルになっています。こちらも一戸建てのコテッジに泊まります。周りの水田と一体となった設計など、自然との調和をベースに、4ヘクタールの広大な土地に造られています。

• タナ・ガジャとは、「Tanah Gajah = Elephant Realm」、即ち、「象の王国」という名前だそうでして、至る所に象の置物などがあります。
  また、象の頭を持つヒンズー教の神ガネーシャ像を多く見ますが、この物語は印象的です。
  ヒンズー教の神シヴァとパルヴァティの息子のガネーシャは象の頭を持っています。ガネーシャはバルヴァティが自分の身体の垢からつくった子で、息子の門番の時シヴァが帰って来ると、息子が入れてくれないので戦いになり、破壊神シヴァが勝ち、息子の首を切り落とした。パルヴァティが怒ったので、シヴァは部下に命じ「最初に出合った生物の首を持って来い」と言って持ち帰ったのが象の生首です。この生首を切り取った息子の首の上にのっけたのが、象の頭を持つガネーシャ神です。
  ガネーシャとは、「ガナ（群衆）」の「イーシャ（主）」で知恵と文学の神様です。４本の腕と１本の牙を持っています。牙は最初は２本有ったのですが、ガネーシャが聖者ヴィヤーサの『マハーバーラタ』を口述筆記した際に、自分の牙を１本抜きペンにしたと言います。この事から学問の神様とされるようになりました。

• もう一つのイベントはケチャックダンス又はケチャダンスです。次のように説明されています。
  昔は、ケチャックとは恍惚状態にある娘達が踊るサンヤンという踊りに伴ったコーラスの事だった。サンヤンは、恍惚状態にある娘達を通じて、祖先の願いを聞くことを目的としていた。現在のケチャックダンスは、ラーマヤーナ物語をもとに踊られています。
  ラーマは、アヨディア王国の王位継承者であった。しかし、父王が継母と継母の生んだ子を王にすると約束していた事を知り、妻のシタと弟のラクサマナを従え王宮を去り、ダンダカの森に入ってしまう。そして、その森で一匹の黄金の鹿に出会った。シタがその鹿を生け捕りにして欲しいと願ったので、ラーマとラクサマナはこの鹿を追うことにした。無防備で1人残されたシタは、アレンカ王国の悪の大王ラワナに捕らわれ、連れ去られてしまう。猿王スグリワを司令官に従え、猿軍に導かれたラーマは、アレンカ王国を攻撃する。ラーマ側は勝利をおさめ、ラーマは無事シタと再会し、ハッピーエンドで物語は終る。
  ケチャックダンスはサンヒャン･ドゥダリの神を呼ぶトランスに誘う合唱をヒントにドイツ人のスピースが1932年に創作したものだそうです。場所によってはシタ姫の格好をした女性やラーマー王子と分かるような出演者で行う場合があるようですが、今回は皆同じような格好で演じていました。同行したインドの人によると言葉は分からないがストーリー運びはインドにある物語と同じで内容は良く分かるそうです。コーラスはベースと４つのパートからなり、１６ビートのリズムで出来ているようです。残念ながら聞き分けることは出来ませんでした。またケチャという言葉は田舎の蛙の声を真似たもので悪霊を追い払い神々の降臨を祈る呪文だそうです。一方では「チャ！チャ！」というかけ声は猿神ハヌマンの率いる猿の群れの鳴き声のように聞こえることから"モンキー･ダンス"とも言われるそうです。
  途中で猿王らしき人が炎に包まれた椰子の実を素手でラグビーボールのように扱っていましたが、火をよく手で持てるものです。感心しました。

夕暮れの赤い光と黄色のリボン	アプローチをリボンが飾る。	象の群れもお洒落に飾る。	これもヒンズー教のひとつか?
道のりは黄色いリボンが導く。	Ganeshaと呼ぶ本館から始まる	館の中央の色鮮やかな花。	象の頭を持つガネーシャ像
ガルーダが王の傘を持つんだ!	ジャーン、ドラです。	夕食前の飲み物とおしゃべり	プールの周りで和やかに過ごす
水の流れで光が幻想的に映る	象は重要なモチーフ。	光の壁画にも象がいる。	一つ一つがホテルのロッジ
外観も近代的センスで飾られる	お洒落な居間は外から見える	寝室は隠されている。	巨大な割門のステージが建つ。
ランタンの先は民族博物館	ケチャックダンスが始まる。	インドの人も一緒だったが、彼曰く、言葉は分からないが、
ストーリーはインドに伝わるヒンズー教と同一で内容が分かる		この人は素手で燃え盛る火を掴む。秘訣があるのだろうか。
多分猿王スグワリの役だろう。	子供と天使風で対比。	100人余りの人数で演じる。	子供たちも多く参加する。
ヒンズーの儀式を再現。	中央がラーマー王子役。	最後に全員集合。	周りの水田を穏やかな灯が点す

2004/05/01