深い緑に囲まれた五重塔は、単に地面の上に立っているのとは違って感動する美しさがあります。この由来を以下に山口市役所の観光案内に従って記しておきます。
大内氏前期全盛の頃、25代大内義弘は現在の香山公園に、石屏子介禅師を迎え香積寺を建立しました。義弘は応永6年(1399年)足利義満と泉州に戦い戦死。26代弟・盛見は兄の菩提を弔うため、香積寺に五重塔を造営中、九州の少貳勢と戦って戦死。五重塔はその後、嘉吉2年(1442年)頃落慶しました。毛利輝元が萩入りし、江戸時代の初めに、香積寺を萩に引寺し、跡地に仁保から瑠璃光寺を移築しました。これが今日の姿です。
五重塔は九輪の尖端まで31.2m、各層軒が広く張出し、檜皮葺の屋根の勾配は緩くなっています。塔身は上層ほど間を縮め、塔の胴を細く見せ、すっきりした感じがします。これに対して初重の丈が高く、柱が太く二重目には廻縁・高欄があるので安定感が強く感じられます。鎌倉時代から、建築様式に、和様・唐様(禅宗様)・天竺様(大仏様)の3つがあらわれますが、和様を主体に、一部を禅様に、室町建築としては装飾が少ない造りとなっています。
全国に現存する五重塔のうちで10番目に古く、美しさは日本三名塔の一つに数えられ、室町中期における最も秀でた建造物と評されています。ちなみに、日本三名塔の他2基は、法隆寺と京都府醍醐伽藍町にある醍醐寺にある五重塔です。また、檜皮葺屋根造りのものは瑠璃光寺の他に、奈良県の室生寺と広島県の厳島神社、そして奈良県の長谷寺があります。
この国宝、五重塔は観光山口のシンボルとして桜や楓の裏山を背に、大内文化を優雅に伝えています。また、日没ごろから数時間ライトアップされ、夜も見どころの一つです。
山口駅からレンタル自転車で行きました。距離は2〜3kmくらいでしょうが、県庁を左に見て最後の坂を登るのですが、これが長い心臓破りの丘です。本当に着くのかなと思いながら登っていくと最初に洞春寺が来て、次が瑠璃光寺です。町全体が大きくないので自転車が便利ですが、この坂は覚悟しておいた方が良いでしょう。
入り口を入るといきなり
池と庭に囲まれた
五重塔が現れます。
檜皮葺屋根は赤茶けた黒です。
見方によっては森の中にあり、
別の目で見れば池の横に佇む。
楓の紅葉にも映えそうです。
桜も季節には良いでしょう。
中央に戻り瑠璃光寺に向かう。
瑠璃光寺は、大内家の筆頭家老、陶氏の菩提寺で、1471年創建、1690年にこの地に移る。
瑠璃光寺本堂です。
こぢんまりと建っています。
筆頭家老の菩提寺ですからね。
長寿薬師如来とあります。
550年記念石造五重塔1992年作
中央は1532年作の梵鐘です。
境内は良く整備されています。
本堂から入り口の門を見ます。
瑠璃光寺の帰りに見る五重塔はまた違った方向で見応えがあります。芝生の緑にも映えます。
2006/03/01